「評判の店があると聞いたのだが・・・」
男は突然現れてこう切り出した。
「さて、何のことを言っているのですか・・・?」
マスターは訝しげに男を見つめた。
「この店が巷で評判のヴァルナではないのかね?」
男はなおも続けた。
「この店はそんな大それた店ではありませんよ。」
マスターはグラスを磨きながら答えた。
「本当にこの店は巷でうわさの評判の高いヴァルナではないのかね?」
男は引き下がらなかった。
「いいえ、まったく。」
男のセリフが長くなったのに対しマスターは短く答えた。
「確認するが、この店は世間を騒がせている巷でうわさの評判の高いヴァルナではないのだね。」
男のセリフはさらに長くなった。ついでに声も高くなった。
「はい。」
マスターのセリフはさらに短くなった。二人の会話はいつの間にか店にいるほかのお客さんの注目となっていた。
「そうか、この店は今世間で『アッ!』というほど騒がれている巷でうわさの評判の高いヴァルナではないのか・・・。」
マスターはもう何も答えませんでした。
すると男は、一枚のチラシをマスターに渡して出て行きました。
それは、新しく出来た店のチラシでした。
「ヴァルナ」という。