今では電子書籍などのブームで、不況を極めているといわれる紙媒体の業界も、10年ほど前まではベストセラーが大量に刷られていました。
そんな当時のマーケットの中でひそかな活躍をみせていたのが、「翻訳本」の存在でした。
「ハリーポッター」や「金持ち父さん 貧乏父さん」、「チーズはどこへ消えた?」など、翻訳本のマーケットが2001年以降は著しい成長を見せており、上位の売り上げを翻訳本が独占していることもあるほど、翻訳家の存在は出版業界にとって多大な存在になってます。
翻訳家は、派手な活躍こそなくとも、裏方としての功績を残し続けている存在であり、映画の字幕翻訳や、法律翻訳、医療翻訳など、その活動は幅広く、多岐にわたっています。
しかし翻訳という仕事の難しさは、「ニュアンス」の違いを、いかに巧みに表現するかというところにあり、その技術の向上には、語学の勉強だけではなく、マルチな才能が必要です。
字幕翻訳なども、海外の感覚でしかわからないような感覚を、そのまま直訳してしまうと、ひとつの名シーンをまったく違うものに変えてしまいます。監督の意図などを理解する感性がなければ務まりません。
法律翻訳などにおいても、ただでさえ国内の法律が難解であるのに、海外の法務知識もある程度理解したうえで書き直さなければならないという大変さがあります。
くわえて、一日に何十ページと翻訳する人も少なくありませんし、その仕事量も売れっ子になると、ときに大変な量産を強いられます。
今後、翻訳家になることを考えている人は、険しい道のりになるかもしれませんが、その知的好奇心を大事にし、私のような、語学が堪能でない人間のもとに、外国のすばらしい文化を届けてほしいと思います。